ダースベーダー

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あまり見分けのつかないがきんちょたち。だけど。1番背が低く横幅がある彼はゆうちゃん。中央に居る最初っからの突撃隊員。 そうちゃんは左後ろで三人の中ではちょっと面長かもしれない。 「焦げた匂いだよ!」 「美味しそうな匂いだよ!なっ、そうちゃん!」 ゆうちゃんの右横で一緒に吠えるちょっとだけ背の高い目のくりっとしたあおり要員のボク。名前はわからない。 ゆうちゃんと彼の口癖は「なっ!そうちゃん!」だ。だからそうちゃんは1番に名前を知った。 「焦げた、、ああ、、ちょっと待って。」 ジューンベリーの根元に広げた手のひら大の平たく長いバークチップを3枚ひろいあげる。 バークチップ。チップ。かけら。欠片。まぁ大木から見ればこれも欠片なのか。カケラって粉々なイメージあるけどなぁ。 「はい。あげる。」 「オレいらないです!!」 素直に受け取ったのは、ボクとそうちゃん。 「、、いらないの?」 「いりません!!」 「良い匂い!」 「すべすべだ!!」 ひらひら見せびらかすボクと。真ん中は変わらずに、でもずいずいっと後ろに引くゆうちゃん。 「良い匂い!」 「焦げた匂い!」 「すべすべ!」 「つるつるぅ!!」 「前に!!木が刺さったから!!オレはいいです!!」 「、、これは刺さらないけど、、ああ、でも手が汚れる、、うちに帰ったらちゃんと洗うんだよ。」 すべすべを愉しんでいたそうちゃんの手の平が赤茶色になっていることに血の気がひく。 やばい。こいつら他所さまのお子様だ。知らないがきんちょだ。その手で君たちあちこち触るよね?! 「あっあと!!い、いらなくなってもその辺にポイしたらだめだよ!」 「う、うちの庭ならポイしていいから!あっ公園!公園ならいい!?人様のうちはダメだから!」 ガヤガヤと帰ってくる中学生たちの声に焦ってくる。やばい。こわい。大きな子供は怖いの。近づいてくる。だってうちの前通学路だし遊歩道だし。むしろここでみなさまたむろうのよ。 「じゃっじゃあ気をつけて帰ってね!」 唐突なあたしにがきんちょは静止した。 ゆうちゃんが中学生の一団を一瞬見た、気がした。 「さよ、おならー」 お尻を突き出し左手を掲げて得意げににやりと。 「「さよ、おならー」」 二人がそれに続いて、遊歩道にさしかかった中学生がけらけら笑う。 「「「ばいばーい!!」」」 「ポッ、ポイ捨てしちゃだめよー!!」 踵を返してダラダラ歩き出した黄色い帽子たち。わざわざうちの庭まで回って来てくれてると気が付いた。
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