手慣れたナンパ

1/2
前へ
/132ページ
次へ

手慣れたナンパ

ミツバチがラベンダーを往復している。梅雨に紛れて咲き終わる紫の花。先に茶色が混ざる頃が1番香る。まさに(いま)だ。 剪定挟みで樹から出る茎を摘み根元を切っていく。 ぱちん、ぱちん、ぱちん。無心になる。一握りぶんの束をバケツに入れ繰り返す。 贈るには咲き始めが見栄えがいい。金銀朱色、白に橙色。ふわふわではなく、そうお菓子屋さんのしっかりしたリボンでしゅっとまとめたらすっと立ち上がるラベンダーに似合うだろう。 けれど、匂い立つのは咲き終わり。花ではなく茎。だから長く茎を手折って 「こんにちは!」 「「こんにちは!!」」 わたしは少し学習しよう。夕方は引き籠もる。ここは既に庭先の花壇だから逃げ場は無い。 「ラベンダーあげようか。」 無言。リアクション無しの無言て。 大人の対応をお願いしたい。出来ないならさくっと。さくっと断って。ほらほら君たちのターンだよ?先制攻撃は跳ね返されてダメージくらったんで回復待ちで1回休みな勢いのこちらは何も出来ないです。
/132ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加