最終羽

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 ベッドの上に乱暴に足を投げだして、アテンは天井を仰いだ。   ────可哀想。  エリーの言葉を聞いて、体が鉛のように動かなくなった。そんな風に思われてたなんて気付かなかった。  リアは変わらず優しい。ずっと前────エリーの時から。  自分はそれを、エリーが自分を愛してくれているからだと思っていた。  エリーはこの翼を初めて綺麗と褒めてくれた人間だった。それをずっと、彼女が自分を認めてくれているんだと思っていた。  ────俺は、アイツの優しさを履き違えてただけだったのか。  どうしてそんなことにも気が付かなかったのだろう。  嬉しかったのだ。そんな人間がいてくれたことが。そんな風に認めてくれたことも、優しくしてくれたことも────。  なんておめでたい頭だ。アテンは馬鹿馬鹿しくなった。   ────じゃあ俺は、結局誰にも愛されてないんじゃないか。エリーも、リアも、誰も────こんな俺を愛してくれる奴なんていやしないんだ。  考えれば考えるほど今のリアの優しさも、エリーのことも疑ってしまいそうだった。  悪魔と言われ続けたせいか、自分を認めてくれた人物に対して馬鹿正直に愛情を示した。  それは天使として生を受けたのに誰もが自分を拒絶し、愛そうとしなかったからだ。  求めるが故に傷付き、簡単に人を信じた。  今まで同情してくれる者すらいなかったから、想像すらしなかったのだ。  滅多に誰もこない部屋に扉をノックする音が響く。  アテンは自分の耳を疑った。アテンの部屋の扉を叩こうとする物好きはこの天界にはいない。  一体誰なんだとドアを開けると、そこにはリアが立っていて、アテンはひどく驚いたと同時にまた悲しみに襲われた。 「いきなりごめんなさい……あの、ちょっと話したいことがあって」 「……何の用だ」 「……さっき聞いた話だけど、私あなたのこと──」 「もういい」 「え……」 「同情なら結構だ。弁解されようがされまいが同じだ。そんな下らない話をしに来たなら帰れ」  リアがショックを受けると分かっていても、アテンはそんな言い方しか出来なかった。  これ以上期待して傷付けば大事な思い出も汚してしまう。  この愛情がまやかしなら、自分は何を信じたらいいのだろう。 「同情じゃない……私は、あなたのこと────」  リアの瞳が悲しみに歪んだ。だが、何かに気付いたようにほんの僅かに瞳を見開いた。
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