【1章】ワケアリ御曹司

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重厚な造りの扉から部屋を出て、歩くことわずか5歩。進行方向右手に扉が現れる。 私は迷わずコンコン、とそこをノックして、返事を聞かずに部屋へと入った。 「失礼いたします」 遮光カーテンが引かれ、薄暗い室内。 中の広さは、私の部屋の軽く3倍はあると思われる。 調度品の豪華さにも磨きがかかり、何もかもが大きい。 デスク、照明、テレビに本棚、冷蔵庫。 そして何といっても目立つのは、部屋のほぼ中央に据えられている巨大なベッドだろう。 大の大人がのびのびと5人は眠れそうなレベルのそれは、特注品に違いない。 私はそのスケールに圧倒されながらもベッドへ歩み寄った。 そして、3歩程距離をあけた位置に立ち、こんもりと人型に盛り上がっている布団へ声を掛ける。 「おはようございます、真一様」 声に反応したのか、もそもそと動く塊。 しばらくして、布団の中からひょこりと人間の頭部が出てくる。
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