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重厚な造りの扉から部屋を出て、歩くことわずか5歩。進行方向右手に扉が現れる。
私は迷わずコンコン、とそこをノックして、返事を聞かずに部屋へと入った。
「失礼いたします」
遮光カーテンが引かれ、薄暗い室内。
中の広さは、私の部屋の軽く3倍はあると思われる。
調度品の豪華さにも磨きがかかり、何もかもが大きい。
デスク、照明、テレビに本棚、冷蔵庫。
そして何といっても目立つのは、部屋のほぼ中央に据えられている巨大なベッドだろう。
大の大人がのびのびと5人は眠れそうなレベルのそれは、特注品に違いない。
私はそのスケールに圧倒されながらもベッドへ歩み寄った。
そして、3歩程距離をあけた位置に立ち、こんもりと人型に盛り上がっている布団へ声を掛ける。
「おはようございます、真一様」
声に反応したのか、もそもそと動く塊。
しばらくして、布団の中からひょこりと人間の頭部が出てくる。
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