Prologue

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 20XX年、この法案が施行された。  この法律の主な特徴は次のとおり。 『ブライダルチェック義務化』  これまで任意の検診であったブライダルチェックを、結婚前の男女は双方受診することが義務化された。  これは、結婚後に夫婦のどちらかに不妊の原因が発覚し、「夫婦間の子どもの誕生を望んでいるのに授からない」という事態を回避する目的である。 『政府公認花街を政令指定都市及び県庁所在地に設置』  跡を絶たない性犯罪を撲滅するため、性的欲求及び性癖を満たす場所を、政府主導で提供することとされた。売春防止法や風営法が施行されて久しいが、政府主導でそういう場を整備することが、結果的に性犯罪の抑止力になると考えられたからである。  もちろん、反発は大きかった。 「どこに設置するのか」 「子どもへの教育的配慮は」 などと、教育現場からの反発のみならず、性犯罪被害者の会からの反発も大きかった。  また、既存の法律との抵触のないよう慎重に慎重を重ねて協議され、性犯罪への罰則も強化された。  この法律を施行させるにあたり、所管する担当省庁はなかなか決まらなかった。国民の生活の多岐にわたる分野に関わるからだ。  結局、厚生労働省、文部科学省、法務省、警察庁などから人員が派遣され、この制度を監督する独自の組織が発足した。
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