生と性

Prologue

　食欲、睡眠欲、性欲は人間の三大欲求と言われるが、なぜ性欲だけは秘められるのだろう。

　食欲、睡眠欲は自分一人で満たすことができるが、性欲だけは自分一人では満たすことができない(自慰行為除く)。

　この「性」にまつわる欲求が、あるのにないもの・隠すべきものとされていること、それ自体に問題があるのではないか。

　話題に出すことが憚られる風潮、その一方で性に悩んでいるのに誰にも相談出来ずにいる人が多く存在する。
　それを解消したい、そう考える人物がいた。

　また、不妊治療対策、少子化対策、夫婦のセックスレス問題など、夫婦の生と性に関する悩みや問題は尽きないが、問題はこれだけにとどまらなかった。

　LGBT＋などの性的マイノリティへの理解と支援、性犯罪防止、未成年への性教育など、国民の生と性に関する課題はまだまだある。

　この現状を憂いた議員によって、全ての生と性に関する問題を総括する法案が提出された。

　議員立法による法案の成立は年間に1〜2割と言われている中、この法案は物議を醸しながらも可決され、成立と施行までには更に数年を要した。