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バックステップで距離をとり、残る片葉で仕掛けてきた攻撃を避けて、再び剣を振るう。リーチの無さで上手く当たらない。
それをわかっていた私は、頭を下げて葉っぱを潜り抜け、返す刃で葉の根本に一閃。葉っぱを切り飛ばした。
「これで攻撃手段は封じーって、うわっ!?」
なんと、タンポポはふわふわの頭を回転させて私に叩きつけてきた。驚いた私は、ろくにガードも出来ずに攻撃を受け、地面に叩きつけられる。
ゲームだから、痛覚は鈍い。
しかし、バトル時のみ頭上に表示される私のHP(生命力)バーは、ガクッと減った。
「油断したー。もっと注意しなきゃ」
ソロプレイなんだから、攻撃は全部避けるくらいのつもりじゃないと駄目だよね。
横に転がって距離をとり、起き上がった私は、気合いを入れ直して短剣を構えた。
間合いを取ったままタンポポの動きをしばらく観察すると、パターンがあることに気付いた。
動く前には、必ずうねうねと頭を動かし、そして、頭を回転させた後は数秒停止するのだ。
タンポポのHPバーはすでにレッドゾーン。
パターンを把握した私の敵では無かった。
淡い光の粒子となって消えたタンポポに、私はようやく息を吐いて肩の力をぬいた。
いや、端から見てたら、なんかほのぼのというかシュールというか何植物相手に必死こいてんだよwって感じなのはわかってる。
でも、レベル1の私にとっては真剣な勝負だったんだよ。因みに、ドロップアイテムは、三つ手に入った。
【ダンデリードの綿毛】と、【根っこ】と、50C。
あのタンポポ、ダンデリードっていうんだね。
50Cは、お金。なんだか少ない気がするけど、こんなものなのかな? ドロップアイテムを売ってお金にするとか?
今の所持金は、ダンデリードからの50Cを含めて、1050C。……次は、一旦街に戻って、お店でも覗いてこようかな。
ひとまず、油断しなければ一人ででも戦えることを確認して、私は来た道を戻ったのだった。
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