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――《審判》によって勝敗が告げられ、ランカー同士の決闘は終わった。  決着がついた証のように透明なバリアフィールドが砕け、キラキラと光りながら消滅していく。  それと同時に、《審判》は出てきた時と同じく、マンホールのような影に足元から呑まれて消え去った。出てくる時も、帰る時も、なんだかまがまがしいな。  なんとなくそれを見ていた私の耳に、与一さんとマリアロッテくん、二人の鮮やかな闘いぶりに感心する声が拍手と共に聞こえてきた。 「やっぱ、ランカーになるだけあって強ぇなー」 「だなー。さ、賭け金払ってくれよ」 「よーし、俺も頑張るぞー」 「賭け金」 「いっちょ《塔》にでも行くかー」 「……お前の部屋行ってroonちゃんのF・Hファンサービスホログラフを売り払ってくるか」 「すんません! それだけはご勘弁を!!」  ……うーん、まあ、約束は守るべきものだよね。悲痛な叫び声の主に少し同情しながらも、私は深く頷いた。  母が、賭け事は『乗るなら払う、払うのが嫌なら乗るな!』と言っていたよ。  私の父は運が無いのに賭けに乗っちゃうタイプで、よく母に殴られてました。今は、お小遣いの範囲内なら許されているらしい。  ――閑話休題それはともかく  まるでゲームの宣伝ムービーを見た気分で周囲のプレイヤーと共に両手を打ち合わせていると、注目の二人が歩きはじめた。……こちらへと。  ……やばい。  私は浮かべていた笑顔を固く引きつらせた。闘いの凄さにすっかり忘れていたけど、そういえばこの勝負の原因は私だったような……! 「い、いやいや。本当に当たりそうだったのは私じゃなくてエルフ君だし!」  はっと思い出して横を向いた私は、そこで再び固まった。  既視感デジャブとはまさに今この状況を指すのだろう。  ――白髪エルフ君は、姿を消していました。
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