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RPG――【Role Playing Game】は、ゲームをする人なら馴染みのある単語だと思う。
わかりやすくいうと、Role PlayingなりきってGame《遊ぶ》だろうか。
元はアメリカのテーブルゲーム【TRPG】から生まれた物らしい。ゲームのプレイヤー達は、自らが決めた、もしくはゲームに設定された存在になりきって遊ぶ。
それがRPGの基本だ。
この《 World 》もRPGである。
しかし、《 World 》はRPGを強調していた。
従来のオンラインRPGでは、プレイヤーはまず自分のキャラを作成した後、どのような職業クラスに就くのか選択できる。
だが《 World 》では違う。プレイヤー達は行動によって様々な技や技能スキルを覚え、その結果として何者かになるのだ。
つまり、従来のオンラインがクラスありき、に対して《 World 》では、まず行動が先である、ということだった。
魔法使いに成りたいのなら、魔法を覚えINTが上がる行動をとらなくてはならない。
鍛治を続けていれば、鍛治師になる。
――実にわかりやすい。しかし、だからこそ難しい。
このシステムが発表された時、戸惑う人は多かったと聞く。どうやって盾職になるんだ? 効率のいいスキルはどうやったら取れる? 等々。
中には拒否反応を示す者もおり、従来のオンラインに慣れた者にその傾向が多く見られた。
しかし、それ以上に興味を持つ者もいた。
目新しさに惹かれた者や、そこまでゲームにこだわらない所謂ライトユーザーと呼ばれる者。
そして、行動ありきのゲームに興味を抱いた者達だ。
――私のように。
「自分が何になるか分からないって、面白そうだ」と感じてプレイするのを決めた。
βテストでは試験的に、最終日までは例え条件を満たしていてもクラスがわからないらしい。
自分が何者なのか判明するのは、最終日。
私は、その時まで気ままに過ごすつもりだ。クラスをイメージした行動はしない。
どんなクラスがあるのかはまだ公開されていないが、既存のゲームを軽く超え数百はあるとの話なので、何になるのか楽しみである。
「さて、と。――さっきのスキルは、私の行動で取得したものだろうな。簡単にゲット出来たけど、どんなのなんだろ」
再びウィンドウを開いた私は、New! の赤文字で強調されているスキル欄を表示した。
スキル【かくれんぼ】
取得条件:一人対多数の状況で姿を隠し、発見されずに一定時間を過ごす。
効果:姿を隠す行動中、発見されにくい。
「うん、そのまんまだね」
説明文を読んで思わず呟く。条件がわかれば取得が簡単だから、下位スキルとかかも知れないな。
発見されない、じゃなくて、されにくい、だから少し補正がかかる程度だろうけど、ソロプレイ予定の私には便利なスキルだ。
棚からぼた餅なスキルに頬を緩め、ウィンドウを消した私は表示したマップを見ながら歩きだした。
新しいスキルをゲット出来たおかげで元気が出たことだし、街の外にでも行ってみようかな。
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