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パチっと部屋の電気がつく。
「模試やばくなあい?」
「私今から緊張して寝れないかも…」
「それはないわ!!」
明るくなった瞬間喋りだした女たち。
この部屋を出て自分の勉強していた机に戻るには、彼女たちの横を通り過ぎなければならない。
どうして発言権のあるヤツらはこうも恵まれているのだろう。
制服は意外と体型が分かる。
彼女たちはとても綺麗な足を晒していた。
「何点目標?」
「え~私は…」
「…」
下を向き、なるべく興味を持たれないようさっと横を通る。
「…ハア」
会話の内容が聞き取れないほど遠ざかってから息を吐いた。
私の色々と隠しておきたい部分が、ヤツらに漏れ出ているような錯覚を覚える。
私がここの塾を選んだのは、誰も知り合いがいないから。
知り合いがいればその分集中できない。
人の目がどうしても気になってしまうのだ。
知り合いのいない世界は取り繕うことがないから楽。
そのかわり、自分がどう見られているのか全く分からない世界で過ごすことになる。
多少の妄想と息苦しさに耐えればいいだけ。
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