あおいくん

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神さまは不平等だ。 「で、ここはこの公式当てはめて…」 目の前には、ずっと見ていても飽きない綺麗な男がいる。 月曜日の夜に家庭教師をしてくれているあおいくん。 私はいつも彼の顔を眺めてしまう。 容姿端麗な上に頭もいい。 神さまは不平等。 私にはどちらもない。 すごく綺麗で、かっこいいといいたくなる顔。 目の前にあるのだ。 見ないなんて無理。 「こうするとこの問題は解けると思うから、はい、今からここやってみて」 「…分かった」 ……やばい、何も聞いてなかった。 何もわからない…。 でもこんな時の対処法を私は知っている。 10秒ほど黙って、 「んー…わかんない」 と言えばいいのだ。 そうするとあおいくんはにっこり笑って、 「夏目、ちゃんと問題読んでないよね?」 「…ハイ」 さすがによくわかってる。 当たり前だ。 あおいくんに数学を教えてもらうようになったのは、中学三年生の時。 4年もたてば、そりゃあ多少なりとも色々ばれる。 「もう一回最初から問題文読んでみて、途中までは解けるはずだよ」 呆れている。 夏目はそんなに頭悪くないのに適当だから…とぼやいた。 …あおいくん、頭悪くないなら家庭教師とかいらないから。
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