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そもそもあおいくんと私は、昔からの知り合いだ。
幼馴染では決してない。
あおいくんは、私が習っているピアノの先生の息子だった。
私は3歳の時からピアノを習っているらしいので、10年以上の付き合いになる。
…付き合いというほど彼を知らないけど。
中学三年生の時、理系が壊滅的だった私。
ちょうど同じ頃、あおいくんがこの地域では有名な国公立大学に入学した。
娘がこのままではだめだと思ったお母さん。
どこからかその情報を仕入てきた彼女は、彼に私の家庭教師をしてくれないか頼み込んだのだ。
私は彼が家に来る初めての日、とても緊張した。
だってあおいくんは私の憧れだから。
とんでもなくかっこいいうえに話も面白く、さらに頭までいい。
そして後から分かったことだが、彼はとんでもなく教え方が上手かった。
それはもう、私の数学の点数を学年トップ10にいれるほど。
「結構時間たったけど、できた?」
「んー、わからない」
はあ、と二人でため息をついた。
神さまは不平等だ。
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