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受け付けない女、松井祥子。
大きな体とわざとらしい話し方、大げさな仕草。
可愛くないやつが可愛いこぶっているように見える。
それが見ていられなかった。
本人にとってはわざとではなく普通の話し方なのであろうが、私には耐えられない。
極めつけは、知り合って一週間で高校の卒業旅行の話題を出された時だった。
『あのね、姫と卒業旅行どこ行くか話してたんだけど、京都で着物着たいってなって!!』
唖然とした。
知り合って一週間でどうしてそんな未来の話ができる?
私は、そのへんの感覚がよく分からない。
得体のしれない人と未来の話は無理だ。
松井祥子を決定的に受け付けない、と悟った瞬間。
落胆の空気が体育館に広がるのを感じた。
姫が負けたのだ。
「運動できなくても可愛いってすごい」
ルカが感心したように呟いた。
嫌味ともとれるその言葉。
松井祥子のことは嫌いだけど、姫のことを貶されるのは嫌。
「それがいいとこじゃん、口に入れても痛くないよ…」
「夏目って普段クールな感じなのにたまにキモイよね」
うるさいと言いながら、姫が松井のもとに駆け寄るのを目で追った。
「絶っっ対あんな大声で応援すんの、むり」
「ダレ?」
「ショーコちゃん」
けらけら笑われた。
「嫌いだねえ」
「もはやソンケーの域よ」
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