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最期の日、星空が綺麗なあの日。
父は小さな声だけど、母に言ったらしい。
「星……マユと約束したの、いつか行かなきゃな」
私はそこで、忘れてた事を思い出す。
幼い頃、父が言ってくれた事。
『マユ、星好きだろ?』
『大好き!!』
『星が綺麗に見える場所、お父さん知ってるんだ。お父さん元気になったら、そこに連れてってやるよ』
『本当!?』
『あぁ、約束だ』
そうだ私、星が好きだった。
天体観測をするのが好きで、でも父がなかなかその約束を果たしてくれなくて。
そこから父も星も嫌いになった。
でも父は、その約束を覚えていたんだ。
私は、無意識に走り出していた。
葬儀場の中の、父の待つあの場所へ。
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