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「──ねえ、起きて」
声がした。ロイドは身体が揺さぶられる感覚で、ゆっくり目を覚ます。
ロイドが寝ぼけたまま傍らに目を向けると、そこにいたのは白い髪の、緑がかった目をした小さな女の子だった。
女の子は心配そうに少し眉をひそめて口を開く。
「だいじょうぶ? うなされてたよ?」
「いや……なんでもない。昔の夢見てた」
「そう?」女の子はキョトンと首を傾げた後、思い出したように腰に手をやって胸を張って見せた。
「それより、もうお昼だよ! 起きないとダメなんだよ」
「うん、いや……。まだ眠いから、一緒に寝よ……。ほら、おいで」
ロイドは一つあくびをして、女の子の方に手を広げる。
「ダメー。おねぼーさんだ」
そう言いながらも、女の子はギューッとロイドに抱きつく。そうしてロイドを見上げると、幸せそうに頬をほころばせた。
「ね、おかーさんが呼んでるよ。オムライス、一緒に作ろうだって!」
「うん……」
曖昧に返事を返して、ロイドは女の子の名前を呼ぶ。
「なあに? ──おとーさん」
無邪気に笑ったその女の子の顔は、あの少女によく──似ていた。
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