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曲は「SEIMEI」。またかもういいよと散々言われたが、4Aの練習に集中したいので仕方なかった。
衣装だけは、角度によって紫に見えたり青に見えたり緑に見えたりする特殊素材に変えた。
何がなんでも4Aを跳ばなければならない。
4Aを跳ばなければ羽生結弦ではない。
何度も起こしてきた奇跡の、これが最後の奇跡だ。
俺は今日、伝説となるのだ……!
名前がコールされた。
羽生はひとつ息を吐き、リンクへ出て行った。
SEIMEIのポーズを取る。
音楽が鳴った。
リンクを大きく旋回し、アクセルの構えに入った。
そして左足を――踏み切った。
「でりゃあああああああッ!!!」
1回、2回、3回、4回、……半。
まわったァァァーー!!!
その瞬間、アイスアリーナが、世界中が悲鳴と怒号と歓声に包まれた。
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