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<25>
あの時・・・あのまま親葉に抱かれて、冬馬はそのまま寝てしまった様だ。
目が覚めたら、またも朝になっていた。
今日は辛うじてベッドで寝ていたが、やはり素っ裸。
そしてテンプレ通りの状況・・・。
立ち上がろうとしたその身体に、昨日にもまして強い衝撃が走った。
「い、痛ってえええええ!」
腰と窪みの激痛で起きるなり絶叫した。
痛みも昨日と全く同じ。
腰は鈍痛が止まらないし、窪みはガラスの破片を穴に擦り込んだのかという程超痛い。
そして今日に至っては、最早立つ事すらままならない。
(し、死ぬ・・・・空腹と痛みで俺は死んでしまう・・・・)
這いずる様にどうにかベッドから床に移動し、四つん這いでソファまでは移動した。
何故なら、キッチンからやたらいい匂いが漂って来ていたから。
(クソ、美味そうないい匂いだ・・・しかし、諸悪の根源に助けは求められない)
一瞬、冬馬の自尊心が邪魔しそうになったのだが、もう恥もプライドもかなぐり捨てて親葉に助けを乞う事にした。
・・・悲しい事に冬馬の現状では、そうでもしなければ排泄もままならないのだ。
キッチンの奥で手際よくフライパンを振る親葉に、
「親葉助けてくれ・・・立てない・・・・・」
必死にそう、白旗を上げた所。
親葉は火を止めフライパンを置き、冬馬の前に来ると・・・突然正座して土下座を始めた。
「昨日も一昨日もすまなかった!昨晩は最後の願いを聞いてくれて有難うございました」
「あ、ああ・・・・」
面食らった冬馬が四つん這いのまま、ソファにもたれ掛かって聞いていると・・。
「また中出ししちゃったので、シャワーを浴びる手伝いをさせて欲しいんだが」
「・・・・・・・」
聞いた瞬間は本気でイラっとした。
だが既に全然動けないのと、昨日は合意の上だった事があるので、流石に強くは怒れない。
仕方なく
「・・・分かった、頼む」
提案を受け入れる事にした。
しかしこれが間違いだった。
またもお姫様抱っこ状態で風呂に連れて行かれ、風呂で床に降ろされた冬馬が顔を上げると・・・目の前に、「朝特有の身体的状況」下に陥った親葉の元気過ぎる”モノ”と目が合った・・。
流石のその状況に、冬馬の脳が完全にフリーズした。
だが逆に親葉の動きは素早かった。
親葉は既に全裸で、シャワーの水を流しながら冬馬の膝裏を掴んで股を広げた状態にし、抱き上げて鏡の前に晒した。
それまで呆気に取られていた冬馬は、自分が余りに恥ずかしい格好をさせられている事にようやく気付き、
「ばっ・・・!馬鹿野郎、俺のケツ鏡に映してどうすんだよ!恥ずかしいから降ろせ!」
熟れたトマト位真っ赤な顔で、声を震わせながら怒鳴りつけた。
すると親葉は悪戯っぽい笑みを浮かべながら、冬馬の口に指を突っ込んで来た。
「舐めて」
と言われ
「嫌だ」
と返そうとしたその開いた口の奥に、指が入って来て唾液を幾らか盗まれた。
そうこうしている内に、親葉の腕は長いストロークを活かして冬馬の窪みをさっきの
指で弄り始めた。
「いっ・・た!だから痛てえって・・くうっ」
その冬馬の窪みは、無理がたたって赤く腫れていた。
「・・止めろ、本気で怒るぞ」
羞恥で頭がぐるぐるした状態で、それでも必死に冷静に冬馬が親葉を諭すが、当の親葉は全く聞いちゃいない。
窪みを弄り続けていた筈の指が、何時しか中に侵入して来て・・・急に押し広げられた。
「いった・・うわあああっ!」
それと同時に、耳元で囁くようにこんな事を言って来た。
「すっごく良かった。イキ顔もアソコの具合も最高だった。やっぱり、冬馬とこれきりなんて考えられない」
親葉の囁きが聞こえている間、鏡には広がった穴から糸を引いて滴り落ちる・・・ピンクと赤と白の粘液が映っていた。
冬馬は恥ずかしさでもう、死にそうだったのだが・・。
「お願いだからもう、これきりだなんて言わないでくれ。俺を受け容れてくれるんなら、なんでも言う事を聞くから」
(この野郎・・・・)
心底腹は立ったが、処置して降ろして貰う方が優先だ。
仕方なく無言で頷いた。
それと同時に、窪みを押し広げていた指が奥に沈み込んだ。
「うっ・・うわあっ」
「すまない、あんまり気持ち良くて一杯出したから、未だ奥に残っているかも」
とか抜かしながら、散々中を弄り回して来る。
その指はまたも、性感帯を執拗に刺激して来るからタチが悪い。
「くうっ・・・あ、ああっ・・・!」
(俺を弄り回して楽しんでやがんのか、この野郎)
冬馬はもう我慢ならなくて、親葉の拘束を無理矢理解いて風呂の床に不時着すると、思い切り親葉の頬を殴りつけた。
「・・楽しいか、俺を散々弄んで!」
その怒声に、はっとした親葉が冬馬に何か言いたげな顔をしたが、冬馬の方はもうそれどころじゃ無かった。
同時にその場に崩れ落ちた冬馬は、涙目だった。
「イ・・・いた、き、救急車・・・」
腰に渾身の力を注いで立ち上がったはいいが、殴った衝撃と腰に加えた捻りは相殺されなかった。
・・・余りの痛みに、冬馬はその場にへたり込んだまま動けなくなってしまった。
結局救急車は呼ばなかった。
今はダイニングテーブルで、(冬馬はムートン円座を敷いて)親葉の用意した朝食を前に、冬馬が親葉の言い分を聞いていた。
・・・腰には大判の鎮痛消炎剤配合の湿布が数枚張られている。
尻の窪みにも、痛み止めの座薬と炎症を収める座薬が挿入されている。
腕にも湿布がネットで固定されている。
現在冬馬がどうにか椅子に腰かけていられるのは、全て薬のおかげと言っていい。
向かい合わせに座る親葉は、見るからにしょぼくれているように感じる。
件の親葉は、開口一番謝罪を始めた。
「本当にすまなかった!調子に乗り過ぎた。・・あんまり好きすぎて、つい」
「・・・・・好きすぎて?つい?」
両手を拝むように合わせて冬馬に差し出し、頭を下げて何度も謝罪はされた。
だが最後のその二つが呑み込めない。
理解できない冬馬は、更なる説明を求めて親葉を軽く睨みつけた。
すると・・。
顔を赤く染め、俯き加減で冬馬をチラチラ見ていた親葉が、大きな深呼吸を一つ吐きぼそぼそと喋り出した。
「・・・・白状する。春樹は最初の一目惚れだった。冬馬には二度目の一目惚れなんだ」
「・・・・・は?」
やはり何が何だか呑み込めない。
冬馬は口をあんぐり開けたまま、唖然としている。
親葉の話は・・唖然とする冬馬を取り残して勝手に進む。
「・・その、最初は春樹の遺品を片付けながら傷心に浸って、冬馬の事も恋敵くらいに思っていた。だけど、春樹の日記を読む内に冬馬に情が移って・・・」
「で?」
「いい友達になれるかも、とか考えて、絹江さんや明子さんとも連絡とってたんだけど・・・・」
「・・何?!(母さんとも連絡とってたのは聞いてない)」
「一昨日、春樹の墓の前で冬馬を見た時・・・俺の心に電流が走ったんだ。「何てセクシーなんだ!」って。それに一瞬だけど、春樹が生き返ったかとも思ったんだ。・・もうそこからはずっと、俺の目には冬馬しか映ってない。・・でも、前彼の墓前でその前彼の弟に一目惚れなんて、余りにカッコ悪すぎて言えなかった。冬馬は余りにカッコいいし・・。だから、ストーカーまがいの事をしてでも気を引きたかった。何とか家に上がり込めたから、どうにか既成事実を作りたかった。情で気を引いてでも
、どうしても冬馬を抱きたかった。でも、抱いたら・・これっきりって言われたらもっともっと欲しくなって、つい欲が出てしまった。・・・・すまない」
冬馬は天井を見上げて、呆れ気味に大きな溜息を吐いた。
「・・・・で、俺にあんな事をしまくった訳だ」
「・・・ああ、本当にすまなかった」
またため息が漏れ出た。
「ふざけんな、ガキか!・・と言いたい所だが・・・お前幾つだ」
「29歳だ」
「嘘だろ・・・マジでガキじゃねえか。俺より5つも年下のガキに、俺は良い様に弄ばれてたのかよ・・・・」
両手で顔を覆うと、また大きな溜息が出た。
手の隙間から向かいに座る親葉をちらりと覗くと、親葉も同じようにちらりと覗いていた。
そして目が合った瞬間、一切邪心の無さそうな顔で屈託のない笑みを見せた。
(こ、こいつ・・・反省して無ええええッ!)
冬馬は直感的に危険を感じたのか、背筋にさーーっと冷や汗が流れるのを感じた。
咄嗟に予防線を張ろうと、
「言っておくが、俺はそもそも女専門だ。お前だって、レンタカーに巨乳AⅤタレントのグラビア置いてたろうが」
そう振ってみたのだが。
「ああ、あれ?あれは彼女のイキ顔とセックス中の声が、春樹のトロットロの時の顔に似てるんだ。だから見てるだけで、女に一切興味はない」
「・・・・・へぇ」
完全に自爆した。
それに反比例するかのように、親葉の鼻息はめちゃくちゃ荒い。
「それより冬馬のイキ顔、超そそる顔だった!何と言うか・・春樹には無いセクシーさと色香が堪らない。診察中も運転中もカッコ良かったし。もう冬馬から俺は「好き」という感情しか引き出せない。大好きだ!だから俺と・・・・」
「い、いやまっ・・待て!一旦落ち着こう。な?な?・・・・未だ俺達出会って数日しか経ってないだろ?だから先ず、お互いを知るところからじゃないのか?普通は」
どうにか屁理屈をこねて、言いかけた親葉のその一言を無理矢理遮った。
しかし意外に親葉もその屁理屈に乗っかって来た。
「確かにその通り。じゃあ、俺の事を知れば冬馬は俺を受け容れてくれるんだな?」
「・・・ま、まあ・・。友達からなら・・・・」
「そうか!じゃあまず友達から。これから毎週、通える範囲で冬馬の所に通うから」
「・・・・・・は?」
急におかしな方向に舵が切られた。
だが、訂正しようにも親葉が喋り続けていて埒が明かない。
「そうだよな、まずお互いを理解する所からだよな。俺はせっかちだからなぁ~」
「いやいやいやいや・・ちょ、おま・・」
「もう合鍵も作ったし」
「はぁ?!」
重ねて衝撃の事実が。
「ああこれ、そこの調剤薬局でもらった薬。セックスの時には筋弛緩成分の軟膏と痛み止めを混ぜてみたら、すんなり俺を受け容れてくれたし。あ、それは俺が未だ持っとくから。次に使いたいしさ。その傷、早く完治させてくれよ?俺をもっと知って、好きになって貰える様にセックス頑張るから」
「違う!そうじゃ無い・・・・って、ええっ?!はぁ?」
「じゃあ俺、薬塗ったらいったん帰るわ。また来週、楽しみにしてくれよな」
親葉はそれだけ言うと、手を合わせて
「いただきま~す」
・・と、能天気にのたまうと朝食をがっつき始めた。
冬馬は口をパクパクさせながら、どうしていいか分からずに頭を抱えた。
「ああっ、もう!」
やけくそで机を拳で叩くが、当の親葉には一ミリも響いていない。
(兄さん、本当にコイツのどこが良かったんだ?!)
この分では、この先も・・・冬馬の受難は続くだろう、恐らく。
了
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