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私にはには3人の父親がいる。そのどれもが本当の父親ではない。
突然こんなことを聞かされたら困るだろう。
実際良い顔をされたことはない。けれど私にとってはたいした話ではないのだ。不倫して子どもを身ごもった母が、別のDV男と結婚・離婚した後、また別の男と再婚したというだけ。
現在は3人目の父親と2人暮らし。母は5年も前に他所に男を作って出て行った。父と夫婦だったのは2年にも満たない、本当に短い間だった。
私は母に捨てられたのだろう。その事については何の感慨も湧かない。
ただ、申し訳ないなと思う。
もちろん今の父に対してだ。
こんな大きな子どもを押し付けられて、可哀そうだなって思う。だって2年も一緒に暮らさなかった女と、顔も知らない(私だって知らないけど)男との子どもを押しつけられたのだ。性別も違うし、何より子どもはお金だってかかる。
私だったら何のしがらみもない分、赤の他人の子どもの方が可愛らしく思えるかもしれない。
それだけでなく、私たちの間には常に違和感が付きまとっていた。
16歳の高校生と、29歳の会社員。
兄妹にしては齢が離れているし、父娘にしては齢が近すぎる。一時期話題に飢えた近所のご婦人たちの餌食になったのは記憶に新しかった。この年齢差に関する違和感は、しばらくの間どこへ行ってもついて回るだろう。
29歳が世間的に若いかどうかは置いておいて、私はひいき目なしに父は端正な顔立ちをしていると思うし、十分若々しいとも思う。別の女性と再婚だって視野に入れても問題ない盛りの年齢だ。
それも、こんな大きな娘さえいなければの話だけれど。
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