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「ああ、無理もないよ…賞、取ったの黄金井くんがまだ入社する前だもの…」
「ああ、そういやそうだった…けどテレビとかで見なかったのか?」
「全然…俺、ずっと海外にいたから…」
「それじゃ知らないのも無理ないか…」
一正は高校の時からずっと海外で暮らしているため仕事をするのもほとんど海外だった。
羽菜が芥川賞を取った時にはまだ帰国していなかった一正は羽菜が芥川賞を取っていたことは知らなかった。
「…」
「つうか…黄金井て帰国子女だったんだな…通りで入社するの遅いて思った」
「それ知らないの上原君だけだよ」
「え!…うそ…高根さん知ってたの?」
「うん…君はその日、遅刻してきたから知らなかったんだよ」
「ああ、そういや…あの日、寝坊したんだった」
「…」
一正がボーとしていたので羽菜が心配して話かけた。
「黄金井君?…大丈夫?」
「…え…ああ…ちょっと驚きすぎて頭が整理つかなくって…」
そんなやり取りをしていたら昼休みが終わってしまった。
「…(まさか高根先輩が芥川賞取っていてしかも仕事を辞める何て…)ハァー」
一正は仕事をしながらその日は羽菜のことばかりを考えていて中々、仕事が手に付かなかった。
それから何にも進展しないまま数日がたち羽菜が会社を辞める日となった。
「今日で高根さん辞めちゃうんだ…」
「…残念ね…」
「今、までありがとうね…」
そう言って皆それぞれ色々と羽菜と話していた。
「…」
「何だよ…黄金井ボーとして…」
「…」
「?…黄金井?」
一正は上原に声をかけられているのに気づかずにボーと羽菜のことを見つめていた。
「あ、おーい、高根さん!」
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