キレイになったのに!?

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「…(今の間はなにこいつ絶対におごってもらおうとしてる)」 「…頼む…今月もう厳しくってさぁ」  上原は手と手を合わせてその手を上に上げ拝むように羽菜に頼んだ。 「駄目ですよ上原先輩、僕がダメだからて高根先輩に頼んじゃ」  そこに後輩の一正がおごってもらおうとしている上原を止めに入った。 「な!…黄金井…だったら」 「嫌です!」  一正はきっぱりと断った。 「ぅ…」 「ハァー…それじゃ…お疲れ様」  羽菜はそんな上原に呆れてため息をついて帰って行った。 「え!…高根さん!!…黄金井のせいだぞ!」 「僕のせいじゃないです…先輩が使いすぎなのがいけないんですよ…それじゃ僕も帰りますんで…失礼しま~す」  そう言って後輩も帰って行った。 「ちくしょ!…」 「叫んでも無駄だよ…上原くん…ささっと帰りなさい」 「か、課長!」 「言っとくけど私もおごらないよ」 「そ、そんな…ガク」  上原が叫んでいたら課長にまで見放されて同僚は仕方なく諦めて帰って行った。 「ハァーまったく何がキレイになった記念よ人をけなしといて…」 文句をいいながら歩いていたらふとビルのガラス越しに写った自分を見た。 「…(せっかく頑張って痩せてキレイになったのに)」  ガラス越しに写った自分をジーと見てからため息をついて歩き出した。 「…(やっぱり年齢かなぁ…もう今年で30才になるし)」  そう思いながらとぼとぼと歩いて帰って行った。 「ねぇ…一正、聞いてるの?」 「え…何?」 「何じゃない!もう…」  仕事の帰りに黄金井は彼女と食事をしていた。 「ごめんごめん…ちょっと考え事」 「考え事?」
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