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黄昏時の鬼ごっこ-ハーメルン-
僕たちは車に乗って、あの隊員たちが死んだ洞窟にやってきました。
僕は隊員たちの友達でもないけれど、あの出来事だけははっきりと覚えていたのです。
僕は洞窟を進んでいくと、例の広場にたどり着きました。
しかし、彼らはもういません。
ぴちゃん、と音がしました。雨だれが岩の床を穿つ音です。
僕は天井を見上げると、見たこともない鳥が何羽か止まっていました。
そのうちの一匹(そいつだけ種類が違って、ひと回り大きく、黒い体にオレンジの大きな鉤形の嘴を持っていました)がじょー、と鳴きました。僕もじょー、と真似をすると、鳥はばさっと飛んで、僕についてきました。
僕は、なんだかハーメルンの笛吹みたいな気分で、彼を引き連れて洞窟を出ました。
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