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黄昏時の鬼ごっこ-大仏現る
その時でした。
ごごこご!!!という音が後ろからしました。
僕が振り返ると、そこには般若のような形相の大仏が、僕を追いかけてくるのが見えました。
いや、もしかしたら高校を出た時から、すでに奴につけ狙われていたのかもしれません。
僕は洞窟前の湿地を、うわーーと言って走りました。しばらく行くと湿地を抜け、目前には蓮の咲いた沼と、その上にかかる古びたウッドデッキが見えました。僕はその上を、彼に追われながら走りました。ウッドデッキがカタカタなりました。
途中、疲れて思わず立ち止まりました。が、振り向くと、彼が逆に本気で追いかけてきたので、またうわーと言って走りました。
足はまるで夢の中にいるみたいに動きませんでした。棒のようというやり、まるで空気の上を走っているように足が滑るのです。
それでも僕は、泣きそうになりながら走りました。
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