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残穢
死ぬほど怖い夢を見た。
というか、僕はその夢の中で、一度死んだのだ。
こういう夢を見るのもある意味臨死体験なのかもしれない、と、僕は思った。
こんな時間に飛び起きてしまって怖くて眠れないので、あなたにも暫しお付き合いいただきたいと思う。
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元来、僕は死ぬっていうことに恐怖はなかった。
苦痛や不安は、生きているからこそ生じるものだ。
死自体には特に恐怖はなかった。
でも、その夢の中で一度死んでしまい、飛び起きてからしばらく暗い部屋で生をぼんやりと実感しながら一人であれこれ考えていた時、ふと
「あ、あの時死んでいたら、こうやって考えることもできなくなるんだ」
と思い、僕は怖くなった。
ここのところが重要なのでもう少しだけ掘り下げておく。
例えば病や傷を負うことによる苦痛や、死ぬことへの不安は、やはり生きてるから生まれるわけで、それは怖いけど、でも死ぬこと自体は受容してるつもりだったのだ。
でも、夜部屋で一人、その恐怖すら暗闇に溶けていくのを想像したら、何か、より質量の大きい怖さが生まれた。
まさに夢で死んだ時、それまで認識できなかったが連続体であった思考が、プツンと終わったのだ。
そして、飛び起きて目に入ったのは、自宅の黒い天井であった(変な話なのだが、なぜか僕は裸だった。服を脱いだ覚えはない)。
そんな呆けた自分を笑える状況と思考が、何だかすごく不思議でありがたくて、一方で逆説的に、死を凄く怖く感じたのだ。
もっとも、僕が「死」を意識できたのは起きてからの数分であったようで、今はもうなんら怖くない。
ただあの時は、死神が僕をずっと見てるような気分で、寒気が止まらなかった。
何なら、僕の意識に上る時、本当にそれは「いる」のかもしれない。
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そうか、だから僕は、本当に紙一重で死を免れたのだ。僕は選別を免れたのである。
僕は"Nightmare"における死神の銃口をこめかみに突きつけられてなお、その追跡から逃れて今、文章を書いている。
シューベルトの名作の一つに、魔王という曲があるが、まさに僕が感じたのは、きっとあの曲で少年が「見た」のと同じ物だ。
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一方で、今僕は、別のことに関してものすごく怖くなっている。
なぜならあの場所に、僕が殺された場所に、もう一人いたからである。
彼の名前を出すことは恐ろしくて、とてもじゃないができない。
でも、あの黄昏の家屋の基礎の迷路の下に、たしかに僕の他にもう一人、僕の親友がいたのである。
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変な話だが、もしこの後僕がどこかを悪くしたとしたら、おそらく僕はあの「軍服の男」にそこを撃たれたんだと思う。
何であんな場所で鬼ごっこをしたんだろう。
何で僕はあいつに追われていたんだろう。
何で、何で。
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今これより、再び生まれた「大いなる力への背徳への恐怖」と闘いながら、この夢の全貌を公開する
途中で投稿が途切れたとしたら、僕は大いなる力、見えない死神、魔王にまた連れていかれたと思ってほしい。
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