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あなたを選んだ理由
俺は、言えないままだ。
相手がベラベラとお喋りで、それにいつも間違えたことばかりを言うからだ。
「昨日のドラマ見た? 面白かったよなー。続きが気になる。早く来週になればいいのにな」
因みに、昨日のドラマは最終回だった。
本当に見たのか、実は見ていないのか。探りを入れようかと、口を開こうとする。
「そういえばさ、あの昨日のヒロイン役の女優。主役俳優と結婚するんだってな。二人が付き合ってることにも、結婚するのもびっくりだよなー。あの女優、喋り好きで有名だってのに、相手の男も派手好きで有名なのにな。ガチャガチャした夫婦になりそうだ」
それも違う。なぜなら彼女は俺と秘密裏に交際していて、昨日プロポーズをしたからだ。
「なんで、選んだんだろうなー。俺は、お前を相棒にした理由は、もちろん俺もお前も仕事が出来るイイヤツだったからだぜ! 仕事でも、プライベートでも、相乗効果ってやつは必要だろ。お前も早くイイヒト見つかるといいよなー。お前の良さを知ってるのが俺だけだと寂しいぜ」
俺が二人を選んだ理由は、ただ退屈だけはしなさそうだったからだ。それだけだ。
アイツもコイツも俺を選んだ理由が同じだったのも、偶然ではないだろう。
人を選ぶ理由は、選ばれる理由をつれてくるのかもしれない。しかし、それも悪くない。
俺が本当のことを言ったとき、二人がどんな反応をするか楽しみだ。
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