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「あ、」
「どうした?先生」
「この詰将棋なんだけど」
「これ?」
「これ、不完全作」
「なるほど……」
「不完全、ふかんぜん、……」
そして、先生は、しばらく泣き続けた。
「そうだよな、辛かったよな。そりゃ辛いよな」彼女には、そばにいることしかできなかった。
初めて臨んだタイトル戦で、三連敗。内容も、先生の完敗。その悔しさは、彼にしか分からない。
それでも、姉者がタイムカプセルに仕込んだメッセージ、『最高峰の詰将棋にも失敗はある。誰だって、間違えるものさ』は、きっと、彼にも届いている。
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