ハルキと狼の友人

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 ホテルのベットに組み敷かれた俺は、首筋に舌の感触を感じながら吐息を漏らした。  興奮してきたβが俺の胸元をまさぐると、お返しに下方の膨らみを指先で撫でてやる。 「相変わらず、お前の触り方エロいな」  ニヤッとする相手を見上げて、俺は興奮を煽るように妖艶な笑みを作った。 「こういうのが好きなんだろ? 俺はマグロじゃないからな、良くしてやるよっ」  相手の身体を押して転がすと、今度は俺が上に乗って相手の肌に舌を這わす。硬くなっているそいつ自身を激しく舐めて、今度はそれの上に自ら跨がって受け入れる。  お互い激しく腰を振って、俺は相手が放ったものを内に感じる。その繰り返し。  付き合ってもいない相手との愛のない作業を、俺は恥ずかしげもなく出来るようになっていた。いつからこうなったかは、もう覚えてない。  高校時代にΩとわかってから、この生活は既に定められていたようなもんで。  バイトしながらβに飯を奢ってもらって、見返りに身体で礼を払う。付き合ってる訳じゃないから、相手に飽きたらすぐ人を代える。  これが俺、椎葉永己(しいばはるき)の生き方だ。  恋人も、番もいらない。  友人は、昔と比べるとかなり減った。俺がΩだとわかると、全員見る目が変わったから。  そういうのなく今でも友達だと思えるのは、中学の時に留学で日本に来ていた奴等くらいだ。  あいつ等が国に帰ってからΩだとわかって、環境も一変した。今はどこでどうしてるかもわからない。  中でも、からかいがいのあったあいつの姿がよく頭に思い浮かぶ。こんな時でも。 「いっ……!」 「ん? ……どうした?」  達した感覚と腰の痛みで現実に引き戻された。俺が声を上げて顔を歪めたから、相手も不思議そうに俺を見上げる。 「腰っ……無理し過ぎたかもしんねぇ」 「気を付けろよ? 使い物ならなくなったらご奉仕に困るだろ」  お前が捌け口なくなって困るだけだろうが。  そう嫌みったらしく言ってやろうかと思ったら「そういえば……」と奴が言葉を続けた。 「この近くに獣人がやってるマッサージサロンがあるらしいぞ。行ってみたらどうだ?」 「へぇ、初めて聞いたな。それ、どの辺だ?」  獣人。そう聞いただけで、金の事とか気にせずにすぐ行く気になった。
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