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罪の意識がある重たい身体を寝かせると、背中にタオルが掛けられた。
「痛かったら言ってね」
「おぅ……頼む」
受付は俺がベットにうつ伏せになったのと同時に出ていって、部屋にはギルと二人。
ダチからマッサージされる状況に少し緊張している俺の背中に、ギルの手の温度が伝わる。痛いのを待ち構えてると、予想を遥かに越えた感覚が俺を包んだ。
「んぅ……っ」
ギルの手は絶妙な力加減で俺の背中を摩り、圧を掛ける所は圧を掛けるが痛みは全くない。
「はぁ……ん……っ」
時々、要所要所ツボを刺激していくが、不快さもない。ギルの親指は欲しい場所へ沈んで、皮膚の内側を熱くしていった。
何だこれ……ほんとにギルがやってんのか……?
「んっ……ん……」
時々、押された圧で感じたような吐息が漏れるが、ほんとにそれ程気持ち良かった。
ギルの手の温度は熱くて、触られた場所がとても心地好い。どんどん身体の奥まで侵食されていくみたいで、もうマッサージの虜だ。
やべぇ……気持ち良すぎ。受付が言ってたゴットハンドって……マジだ。
さっきまであった緊張感はもう消えていて、ただただ身を委ねるだけ。
リラックスし過ぎて俺はいつの間にか目まで瞑り、ギルの手技を堪能していた。
─ ─ ─ ────
どのくらい経ったか。身体が揺すられた事で、だんだんと俺の意識は覚醒していった。
「ハルキ……?」
「んっ……あ……あれ……ギル?」
俺の顔を覗き込んで揺り動かしていたギルと目が合い、俺はゆっくり上体を起こした。若干寝惚けている俺を見て、ギルは困り顔で微笑んだ。
「やっと起きてくれた。もう営業時間過ぎたよ」
「…………は?」
マッサージではなく、店自体が終わったって事にすぐ反応出来なかった。気付くと、俺の背中にはタオルではなくブランケットが掛けられていた。
「途中で寝ちゃった事に気付いたんだけど、よくある事だったから。でも放っておいたらハルキ全然目覚まさなくて。よっぽど疲れてたんだね」
「マジか……」
ホテルでも結構寝ていたが、その時よりもぐっすり寝たようで、身体が軽かった。しかも……
「あれ、全然痛くねぇ」
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