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ほんの少し前だった気がする。
この腕に抱いた小さな身体、触れる小さな手足、泣いたり笑ったり表情豊かな小さな顔。
どれも愛おしくて、大切な宝物だった。
「初めまして。貴方のお母さんです。」
そう挨拶したのも昨日の事のように思う。
気が付けば私の背を追い越して、ちょっと口が悪くなって…。
それでも毎日作るご飯は食べてくれてたね。
あと、10年くらい…かな?
私が貴方を産んだ年齢に追い付くのは。
もしね、結婚してなくても、子供が産めなくても良いと思うの。
周りの人は「なんで?」って言うかもしれないけど、貴方の幸せは貴方が決めるものだから。
私は貴方が幸せになれるのなら、人としての道を踏み外さない限りどんな形も応援するからね。
まだこの話はしないけど、10年後にちゃんと伝えるから、今は手紙にしたためておきます。
出だしはそうね…
「10年後のキミへ」
かな?
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