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『10年後の自分へ』
もうすぐ高校卒業。目の前にあるのは10年後に開くタイムカプセルにしまう手紙。でもいそいそと机に向かう周りとは異なり、透のペンは全く進まない。
「野田、お前だけだぞ。早く出せ」
結局3日経ち、担任に急かされるまで、透は白紙のまま机の中に眠らせたままだった。
――どうせ、読むことなんてないのに。
手紙を書きながら、透は内心自暴自棄になる。
そう、手紙を読む未来なんて絶対に訪れることはない。
透は余命半年なのだから。
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