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朝刊を見ていた。
芸能面は今日も華やかにスキャンダルを報じている。
誰と誰が交際しようが別れようが、売れない役者やってる俺には全く縁がない世界。
ページをめくると、ローカル情報欄に載っていた轢き逃げ事件の記事に目が留まる。
「昨日の午後3時頃……」
俺は顔も名前も知らない、その女性の冥福を祈った。
コトンと、新聞受けに何かが投函される音がする。
中を覗くと、差出人の書かれていない小包が入っていた。
不審に思いながらも封を開けてみると、ビデオテープが1本だけ入っている。
その他には手紙もメモ書きも入っていない。
「……」
俺は取りあえず、それをビデオデッキに挿し込み再生ボタンを押した。
「え……?」
映し出された映像に背筋が凍り付く。
「尊、もしこれを見ることが出来たら――あいつとは絶対に関わるな!」
何だよこれ……何で俺が映ってるんだ? こんなビデオ撮った覚えないのに。
「時を超えて、10年前の俺に送る……大切なものを失いたくなかったら、絶対にあいつとは……」
そこでビデオは終わっていた。
「10年前の俺にってなんだよ……俺は10年後、何を失うって言うんだ」
俺は震える指で、再び再生ボタンを押した。
しかし、画面は真っ暗な状態で、あの映像はどこにも映っていない。
「残念だが、手遅れだったようだな」
どこからともなくあいつの不気味な声が聞こえてくる。
「タケル、お前の願いは聞き入れられた。望みは時期に叶うであろう」
その言葉に、俺はゴクリと生唾を飲み込んだ。
Fin
&
To be Continued for "The Crossroad"
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