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十年前の君へ。
辛いことばかりの毎日だと思うけど、めげないで下さい。耐えて待っていれば、きっと報われます。
実は先日、私の息子が不幸にあいました。
良く出来た子で、その死に顔を思い出すたびに涙が止まりません。ですが、これを乗り越えたときにまた光明が見えるはずと自分を叱咤する毎日です。
君の未来は辛いこともたくさん待ち受けていますが、君はそのたびに乗り越えてきました。
だから、不運や不幸を恐れず頑張ってください。
十年後の君へ。
息子を失った悲しみは無事に乗り越えられたでしょうか。
そして、その元凶を作った憎き相手には天罰が下ったでしょうか。もし、下っていないとしたら私の手で下していることを切に願います。
あいつは危険です。
あの男に天下を預けことがあっては決してなりません。
今は力を蓄え、機をうかがうことしかできません。ですが、いつか自分の出番が来ると信じています。
どうか、その時まで壮健であってください。
「ふう」
息を吐き。
徳川家康は、手慰みに書いていた自分への手紙を丸めて捨てた。
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