letters

2/3
前へ
/3ページ
次へ
「中、読んでみろよ。あいつ今日は来てないみたいだし」 興味本位で言う男子に、鋭い制止が入った。 「ばか、そんな軽く言うもんじゃないわよ」 「そうだよ、知らないの?あの子、今はもう……」 「え、そうなの?」 女子達に制され、顔色を蒼くした男子。 そして私は、私宛の手紙への追究が逸れそうなのを見計らい「ごめん、悪いけど私はここで抜けるね」と、彼らから逃げるようにして立ち去ったのだった。 その場に残れば、自然と彼の話題になりそうだったから。 この場にいるはずなのにいない、彼の話題に―――― それはどうしても避けたかった。 苦い後悔の後味とともに、私は帰路についたのだった。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加