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「中、読んでみろよ。あいつ今日は来てないみたいだし」
興味本位で言う男子に、鋭い制止が入った。
「ばか、そんな軽く言うもんじゃないわよ」
「そうだよ、知らないの?あの子、今はもう……」
「え、そうなの?」
女子達に制され、顔色を蒼くした男子。
そして私は、私宛の手紙への追究が逸れそうなのを見計らい「ごめん、悪いけど私はここで抜けるね」と、彼らから逃げるようにして立ち去ったのだった。
その場に残れば、自然と彼の話題になりそうだったから。
この場にいるはずなのにいない、彼の話題に――――
それはどうしても避けたかった。
苦い後悔の後味とともに、私は帰路についたのだった。
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