letters

　10年前の君へ

　俺は君のハッキリした性格が好きです
　だから、ハッキリ振ってくれてありがとう
　10年後の君が幸せでいますように　　　　

帰宅後開いた手紙には、見覚えのある文字でそう書かれていた。

キュッと胸が熱くなる。

今の私が幸せかなんて、10年前の彼に伝える術はない。
でも、10年後の私の幸せを願ってくれた彼に、この込み上げる想いを伝えたい。

その気持ちが目頭を潤ませたそのとき

ふわりと、愛しい気配に抱きしめられた。

「やっぱり見つかったか」

大好きな婚約者が、手紙に苦笑いを落とす。

「これがあるから、今日は一緒に来なかったんだ？」

泣きながら言った私に、彼は優しいキスをくれたのだった。