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30歳を過ぎいつ死んでもいいと思っていたたある日、ふとやり残したことがあることに気づいた。
過去にやりたいと思っていた声優の仕事だ。
どうせ死ぬつもりだったのだから、最後にやれるだけのことをしよう。
そう思って入ったのが声優の専門学校だ。
そこには私よりもずっと年下の夢と希望を持ったキラキラした子たちばかりがいた。
入ったばかりの頃はこの子たちと一緒にいても大丈夫なのだろうかと、不安になりながらも通い続けたものだ。
だがそんな子たちと話し、一緒に勉強していくうちに私なんかより過酷な生活をしながらも学んでいる子が何人もいることを知った。
それを知り、見て私の考えの愚かさと視野の狭さを思い知らされたのだ。
自分の認識が
考えが
一気に変わった
今でも六文銭を背負って勝負を挑みにいく私であるが、彼ら彼女らに出会い考えを改めた。
確かに今も悔いが残らぬように生きようという心がけはしている。
だがそれは死ぬためではなく
これからも生きるために
そう目標が変わった。
―――今なら10年前の私に言えるだろう。
簡単に死を目標にするな。
生きていればよい出会いがたくさん待っているのだからと。
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