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久しぶりにひっぱりだした大きな瓶。
強い飴色と黒く熟した果実がごろごろ。
洒落たグラスに氷を用意しましょう。
十年前、私は若かった。
まだ何でも出来ると自負していた。
恋も愛も、まだ遊びの範疇だった。
……いやぁ、もう思い出すのも赤くなったり青くなったり大変だからもうやめようね。
とろりと若干重いようなそれをグラスに注ぐ。
甘酸っぱい青過ぎた春はもう来ないだろう。
甘いだけじゃ物足りないと積まれた時間が邪魔をするだろう。
だから私は、刺激を求める。
三十度近い夏には早い六月の昼間。
庭にはなぜか蝶がひらひら。
片手に飴色のアルコール。
片手に点けたばかりの、メビウス六ミリ。
「……かー……っ」
初めまして、十年物の梅酒。
十年前、お前がこんな味になるとは思わなかったぞ。
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