逝く君へ告ぐ

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「やりましたな!」 「我らの勝ちです!」 満ちていた戦いの殺気が消える。 僕の背後で膝をつきながら、歓喜に湧く仲間たち。 彼らの安堵と興奮の声を聞きながら、僕は倒れた君に心の中で語り掛ける。 『とうとうこの時を迎えてしまったね。  僕たちは、本当に命を賭け合わなければならなかったのだろうか。  きっと僕と君とは分かり合えたと思うんだ。  突出してしまった君。  突出してしまった僕。  立場が違えば、僕たちはよき理解者たりえたかもしれない』 限界以上の力を振るい続けた手が震える。 全身に負った傷が痛む。
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