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ちはる18歳 極貧彼氏との恋①出会い
地元は岡山。
高校時代に彼氏は1人だけ
しかも高3の冬にやっとできた彼氏。
出会いは10月。
同じ塾に通う他校の友達のまみからの相談がきっかけだった。
『ちはる、相談のってくれん?
今ね、付き合いよんか、付き合いよらんのんか、ようわからん関係の人がおるんじゃけどさ、今度会わせるけぇ、ちはるから「まみと付き合ってどのくらい経つんですかー?」って聞いてくれん?
ほんで、相手の反応見たいんよー。』
まみの彼氏はプリクラで見せてもらったことがあり、二重がくっきりしたイケメンだった。
プリクラを見せてもらった時、社会人って聞いていたが、金髪だったのでなんの仕事をしてるのか聞いたら土木とのことだった。
『じゃあ、金曜の放課後に駅前のカラオケで集合じゃけ、ちはるよろしくー!協力してくれてありがとね!』
というわけで、当日。
まみとちはるは駅前のカラオケに先に入って、まみの彼氏?と、その友達も来るというので歌いながら待っていた。
ほどなくして、
『おーっす!まみちゃん久しぶり!』とハーフみたいな顔の金髪の男性が入ってきた。
まみの彼氏?だ。
その後ろに、茶髪でグレーのスウェットを着た男性が入ってきた。
イケメンではないけど、やんちゃな感じがなんとなくかっこよく見えた。
まみの彼氏?の名前は、拓馬というらしい。
茶髪の連れの男性は、拓也というらしい。
名前が1文字違いで、しかも幼い頃からの親友らしくて、見た目はやんちゃだけど友達を大切にするいいヤツ感が出てた。
2人は趣味でラップをしているとのこと。
そのため、その日のカラオケで、ちはるの聞いたことのないラッパーの曲ばかり聞くことになった。
拓也が急に
『そういや、まみちゃん拓馬の彼女なんじゃろー?拓馬ばかじゃけどよろしく頼むでぇ。』
と言ったのをきっかけに
ちはるのミッションも発動せぬまま終了した。
まみはめちゃくちゃ嬉しそうだった。
ちはるは門限が20時。
厳格な父親が決めたルール。
拓馬はまみを家まで送るという。
拓也も『ほいじゃあ、ちはるも近くまで俺が送るわー』ということでペアがなんとなくできた。
岡山の田舎がちはるの家。
その時間はもうバスがなかった。
拓也は拓馬の自転車に2人乗りして来ていたらしく、その自転車に乗って拓馬がまみちゃんと2人乗りして帰ってしまった。
ちはるは自転車があったのでそれで帰ればよかったけど、家が拓也と同じ方面だとわかったので2人乗りしてちはるが拓也を家まで送ることになった。
知り合って間もない拓也が
ちはるの自転車をこいで
うしろにちはるが乗って腰に手を回した。
気まずい時間にならないように
拓也はずっと話し続けてくれていた。
拓也の家の近くまで送ってバイバイをした。
すぐに拓也は家のほうに走って行った。
拓也の家からちはるの家までは
緩やかな登り坂になっていて、
ちはるは自転車を押して歩いていた。
しばらくすると
後ろから『ちはる!ちはる!おーい!』と、
錆びた音のする自転車を立ち漕ぎする
拓也が追いかけて来ていた。
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