手をとって

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 拝啓、10年前のキミへ  ボクが出会ったころから、キミは明るく前向きで、向日葵みたいに元気な笑顔を輝かせていたね。  悩みなんか無さそうで、正直あの時のボクは「何て能天気な奴なんだ。」と、顔に貼り付けた笑みの裏側で、キミを疎ましく思っていた。  成績優秀なのにスポーツは苦手なんて、適度な隙もあって、ドジっ子キャラみたいなキミを「あざとくて嫌な奴。」と、いつも心のどこかで嫌っていた。  それでもボクは、キミとするバカみたいな話が…ずっとずっと大好きで…。  なぁ…何で…何で何も相談してくれなかったんだ?  遠く離れたこの距離で、スマホなんてものは、あまりに無力で…。  追い詰められた者にとっては、ただの無機質なガラクタで…。  幼い頃のキミは、笑顔の裏で、何を考えていたのかな?  離れてからこの数年、キミの身に何が起こっていたかなんて、今のボクには…もう知る術が無くて。  人生の大半をキミと過ごしてきたはずなのに、キミのことが…全く分からないんだ。  いや…分かろうとしなかったのは、ボクか…。  もう届かないのかもしれない。  でも、もしこの想いが届くなら、手をちゃんと伸ばして?  今度こそボクに、その手を掴ませて。        本当の親友になりたい、キミの友人  幼き日のキミの笑顔が…ボクの中心(なか)から消えてくれない。
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