タイムカプセル

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孫の成人式は、思っていたより早く来た。少し会わない内に、悠太は大きくなっていた。精一杯のお祝いをしてやった次の日、私はあの手紙を掘り起こした。 『斎藤 由紀子へ まだ、元気ですか。歩けますか。ボケてきてるので、あまり負担にならないように、さっさとくたばって下さいね。 「まだ若い」と思った時点で歳なのですから、無理をしない事。悠くんがちゃんと立派な大人になったのを見たら、静かにしてる事。お嫁さんに口出ししない事。 若い時の貴女が、姑さんにどう思ったか。忘れたとは言わせないわ。 その姑さんになりたくないなら、せいぜい気をつけなさいね。 由紀子より』 私は思わず笑った。常にうっすら思っている事ばかり並んでいたからだ。 私はその手紙を、再び松の木の根元に埋めた。この歳のタイムカプセルも、それなりに面白いと思った私は、庭の見える縁側で横になり、そっと目を閉じた。
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