10年後に生きてる者として

1/1
5人が本棚に入れています
本棚に追加
/1ページ
 西暦2030年、これを記す。  執筆者 生き残りの人類。  今となってはこんな記録を残したところで、何の意味が有るのか。と虚しい思いを懐きながら記述している私がいる。  今、人類は滅亡に瀕している。いや、滅亡は時間の問題だ。  事の起こりは2020年前後にチュー国ブッカン省から世界に広がったとされるコロリンウイルスと呼ばれる病原菌である。  嘘か真かチュー国の病原菌の研究中に突然変異で出現したと疑われたその病原菌はあっという間に全世界に広がった。  その猛威の中、100万人以上の死者を出しながらも1年後には徹底的な感染予防と治療薬のお陰で感染流行は終息したかに見えた。  だがウイルスは死滅していなかった。  感染から体内ウイルス量が一定数を切って陰性反応が確認された治ったとされる人々が1年を経て再発するという事が発生したのである。  しかも再発患者のコロリンウイルスは変異を遂げて感染力と抵抗力を増していた。  そして、コロリンウイルスは毎年のように治療済みとされた人々の体内でモデルチェンジして人類を襲ったのであった。  今何人の人類が残っているのか私は知らない。  ただ人類が滅亡に瀕したのは、コロリンウイルスのみのせいではない。  この10年、どれほど愚かで醜い人間同士の争いが生まれた事か。  それはこの期に及んでも続いているらしい。  一体誰がこんな未来を予測し得たであろう。
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!