嘘なんか本当にすればいい

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 俺の幼馴染、知花(ちはな)は本当にいい子なんだ。誰の言葉も疑わない。他の誰もが冗談だって気づくようなことも信じてしまう。  しかも、知花は少女漫画みたいな世界に憧れてて、同じ電車に乗る他校の男子生徒に突然告白されるとか、転校生と恋に落ちるとか、そういうことが本当に起きると思っているんだ。それが理由かはわからないけど、知花に告白して玉砕する男どもが後を絶たない。『いつも見てました』とか『初めて会ったときから好きでした』とか、そんなありきたりな言葉じゃ知花は落とせないよ。  そう簡単に知花が誰かと恋に落ちるなんて思ってはいないんだけど、いつ何が起こるかわからないだろ? だから俺は、幼馴染っていう現実世界では一番恋人に遠いポジションがどうしたらドラマティックなものになるか、すごく真剣に考えてみたわけなんだよ。
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