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「10年後、わたしと亮ちゃんは結婚してるんだって」
「へぇ、別に俺は驚かないけど」
驚く演技も練習はしておいたんだ。でも、どれも嘘っぽくなっちゃうからそれはやめた。
「俺はわかってたよ。俺と知花がそういう運命にあるってことは」
「運命?」
「そう。でも十年なんて長くない? 俺はもっと早くていいと思うな。未来変えてみようよ」
「未来を変える……?」
知花が心惹かれるフレーズは大体わかっている。今ので相当揺らいだはず。でも、最後はシンプルに。
「知花、好きだよ。俺の彼女になって。それで、十年以内に結婚して」
「いいよ。っていうか亮ちゃん遅いよ。こんな小道具まで用意して、本当にバカね。笑い堪えるの大変だったんだから」
つまり、俺のほうがよっぽど少女漫画脳だったんだ。笑うなよ。
<完>
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