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剣戟の音が、辺りに鳴り響く。
やがてそれが鳴り止む頃には、木刀を杖代わりにして、一人の少年が膝を付いていた。
「どうしました? その程度ですか?」
「まだ、まだお願いしますっ!」
彼は歯を食いしばり、声を上げながらこちらに向かって木刀を振るう。
しかし如何せん、少年の力では大人のこちらには敵わない。
だが、私はほくそ笑んでいた。
……十年後が、楽しみですね。
そうなれば、彼も立派な大人になる。
逆に自分は老いているだろうが、それでも彼の成長が楽しみでしかならない。
十年後、大王(おおきみ)になるであろう彼を見て、私は笑った。
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