僕と君だけの秘密はこれで永遠となる

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 長い時を一緒に過ごしたけど、杏里はこの日、初めて僕を連れて外出した。  やってきたのは、近所の神社。  杏里は巫女の前に立つと、彼女に僕を差し出した。 「これを……お焚き上げしてください」    口ではそう言いながら、杏里は、中々僕を手放そうとしない。その手は、震えていた。  だから、僕は、隙をついて君の手をすり抜けた。  ありがとう、杏里。でもね、もう、充分だよ。ゴミとしてまとめてしまえば済んだのに、わざわざ、神社でお金をかけて火にくべてくれるなんて。  僕は日記に過ぎないのに、なんて愛され者なんだろう。  これから、ものすごく熱くて苦しくて痛いを思いをするのだろうけど、不思議と恐れはなかった。  ねえ。泣かないで、杏里。  君の選択は、間違っていないよ。  これから先、君は一人で抱え込んではいけない。日記にしか書けないようなことばかり増えていくのは、夫婦にとってあまり良くないことだろうから。  これから先は、なんでもNに打ち明けるようにするんだよ。今までの君が、僕に打ち明けてくれたように。  すぐには難しくても、十年後にはきっと。  今まで楽しい話をたくさん聞かせてくれてありがとう。願わくば、来世は、人間として君の話を受け止めたいな。 【完】
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