6人が本棚に入れています
本棚に追加
10年前のDくんへ
親愛なるDくん。キミと出会って、早10年がたちました。
高校生になったばかりのキミは、とてもまぶしい人でした。ハッキリした性格で、全然物怖じしなくて。一体どんな家庭で育ったのかな、とよく妄想したものです。
そんなキミを、私はいつも思っていました。
入学してすぐにキミが起こした騒動のことを思い出すと、今でも笑みがこぼれます。そういう危なっかしいところも好きでした。
そう、私はキミのことが好きでした。世界中の誰よりもキミを愛し、応援していました。それなのに――。
キミならきっと、学校の人気者になれたでしょう。その行動力、芯の強さ。もしかしたら世の中を変えることだってできたでしょうね。
Dくん、ごめんなさい。本当にごめんなさい。こんな私を許してください。
10年後の世界でキミは――まだ、高校1年目の4月にいます。
10年後の作者より
最初のコメントを投稿しよう!