夏の朧げ

1/3
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ

夏の朧げ

あれは小学生最後の夏休みに、父の知り合いの別荘に行った時だった。 たしか、突然知り合い家族の体調が悪くなり行けなくなりその代わりに父が頼まれたからだった。 母は場所が有名な別荘地ということで喜んでいた。 僕は、どうだってよかった。 ゲームがあれば何処でも過ごせるからだ。 父の休暇が決まり次第行く日が決まった。 車で5時間くらいだった。 朝早く出た為、昼過ぎには着いた。 別荘は、マンションに住んでいる僕から広かった。 周りは木ばかりで何もない場所だった。 周りをもっと見ていたかったがさっそく別荘の掃除を頼まれた。 僕は2階の階段や全体の通路を拭いた。 大人二人に子供1人。 全体的に掃除が出来たらやることも無くなった。 家にいるといつもゲームをして時間を過ごしているが持ってきていない。 ソファーの上で足をプラプラさせていた。 それにも飽きて寝ようとしソファーに寝転がった。 それを見た母にせっかく来たのにとぶつぶつ小言をききたくなく外に出た。 扉を開けると一気に風が吹いた。 木々が揺れた。 風が強かった。 目が開けれないほどだ。 薄ら目を開けると少女が通り過ぎた。 大人びていた。 綺麗だと思った。 心が奪われた。 風がおさまり目を開けた。 すると消えていた。 一瞬のことだった。 まるで、幽霊みたいだ。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!