キミへ

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キミへ

 10年後のキミへ。  私は事故で死んでしまいました。夏、キミと待ち合わせしていたバス停で待っていると、トラックが突っ込んできて、即死しました。  でも、キミがその日のデートで告白することは何となく分かっていたし、私だって楽しみで、バス停に地縛霊として残ってしまいました。  キミが私に手を合わせ、子供のように泣きじゃくるのを見て、ようやく私がすでに死んでいたことを思い出しました。それで、今、こうやって祈っています。10年後、キミの記憶に私がいないことを。そして、キミが幸せに生きていることを。  毎日、バス停に来ては涙を流すキミを見ていると、ものすごく辛いです。キミは笑顔がステキだから、笑っていてほしい。キミが幸せなら、私も幸せだよ。  お願いです。どうか、10年後には私のことをキレイさっぱり忘れて、幸せになっていてください。  次の日から、キミがここへ来ることはなくなり、私はひとりぼっちになった。そんなことはどうでもよかった。  たまたま落ちていた新聞にキミが自殺したと書かれていた。
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