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「みんな、朗報だ。先日のボヤで焼けたと思ってた手紙だが、みんなの年の分は無事だったぞ」
意気揚々と少し焦げた箱を持って現れた先生の白髪の増えた髪を、むしりたくなったのは、言うまでもない。
「懐かしいな。読んでみろ」
手渡されたそれを、仕方がなく開く。
『20才のわたしへ
彼氏はどんな人?
まじめなメガネくん?
わたしにだけやさしい不良くん?
だれにでもやさしい人だとちょっとヤケちゃうかも
やっぱり、バレー部のキャプテンかな?
でもでも、モテモテだからって、みんなにいい顔してちゃダメなんだよ!ちゃんと一人を選んで…』
「ふんっ!」
ビリッ
「お、おい…手紙が…」
「大丈夫です。ちょっと手が滑っただけです」
額に汗を垂らしながら私を見る先生に、引きつった笑顔を返す。
10年前の私は、記憶にある以上の少女漫画脳だった。
なんでうちの学年だけ、焼け残ってんだよ!神様のバカ!
今すぐ手紙を焼き尽くしたい気持ちを、握り潰すことで抑え込んだ。
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