神様のバカ

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『20才のわたしへ  今何をしていますか?  大学生かな?  バレーの選手だったりして  ステキな彼氏とはラブラブ?』  確かこんなことを書いたと思う。  成人式の案内を見ながら、10年前、10年後の自分に宛てた手紙の内容を思い起こす。小学校が預かっているその手紙は、成人式の後、渡されることになっている。  1学年20数人しかいない田舎の小学校。2分の1成人式の日に、10年後の自分宛てに手紙を書く恒例行事があった。その手紙は、成人式の後にかつての担任から返される。  正直、返してもらいたくない。  10歳の私は、自分に夢を見過ぎていた。  高校でやめたバレーは、万年補欠。  進学も、大学じゃなく専門学校。  そして、一番の問題は 『ステキな彼氏とはラブラブ?』 「彼氏なんかいねーよ!人生この方、彼氏なんか出来たことねーよ、この少女漫画脳!」  少女漫画大好きだった当時の私に、言ってやりたい。 「高校生になれば、勝手に彼氏が出来るわけじゃねーんだよ!バレーに青春を捧げ、今も夢を追う私に、彼氏は必要ねーんだよ!」  かつての私に届けるべく、空に向かって叫んでみる。 「10年後の自分に宛てた手紙なんか、消えてなくなってしまえー!」  そんな私の願いを、神様は叶えてくれた。 「小学校が火事になったの」  母親からの電話。ボヤ騒ぎで、学校が保管していた10年後の自分に宛てた手紙も、焼けてしまったという。  神様、ありがとう…  不謹慎にも、心の中で神様に手を合わせる。
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