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だけど気づいたんだ。雨はもともと透明なはずなのにきちんと見える。形が分かる。白や黒、水色。降る場所や背景によって色が変わる。それは雨が一生懸命生きているから。時に細く長く、時にぽたぽたと、しとしとと。儚い命。だけど草木や野菜や果実に命を与える。窓に頬(ほお)を当てて目を閉じた。窓は冷たくて、雨の尊さに思いを馳(は)せた。私も雨のようになりたいなあ……。ふとつぶやいていた。
すると頬の真ん中にいた雨の粒がにっこり笑って話しかけてきた。
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